南足柄市予算案、４年連続プラスに　税収減は３年連続

南足柄市役所
南足柄市は１２日、総額２６６億４千万円の２０２０年度当初予算案を発表した。一般会計は４年連続プラス編成で、過去１０年で最大規模。加藤修平市長は「市民生活直結施策に重点配分した」と説明した。
歳入は、法人市民税が１８・８％減るなどし税収（１・５％減）は３年連続のマイナスとなる。ふるさと納税などの寄付金は７億５千万円と前年比８８・２％増を見込む。
歳出は、道の駅の工事完了で農林水産業費が５３・４％減、新斎場の完成で衛生費が６・８％減となる一方、道路の維持・補修などで土木費が３１・２％と大幅に増加する。高齢者対象の事前予約で運行する「デマンド型交通」の実証実験や発達相談事業といった新規事業の関連経費も盛り込んだ。
【解説】財源確保、楽観できぬ
南足柄市の２０２０年度当初予算案は、３期目に入った「加藤市政」で最大規模となった。税収減を国や県の支出金とふるさと納税の伸びなどでカバーした形だが、長期的な安定財源の確保に向けた道筋は楽観視できない。昨年打ち出した小中学校の統廃合を含む公共施設再編計画も財政状況を左右するとみられ、人口減に直面する市は難しいかじ取りを迫られそうだ。
第５次総合計画・後期基本計画の初年度の事業を進める２０年度予算案は、保育費や生活保護費が膨らむなど扶助費の増加が目立つ。人件費などを含む義務的経費の伸びで財政の硬直化が進む中でも、昨秋の台風被害を受けた林道の復旧や指定避難所の機能強化など「市民生活直結施策に重点配分」（市長）した。
一方、財政規模が膨らみながら健全化に腐心した形跡もうかがえる。大型事業の整備が完了したことで、市債発行額を最少限に抑制。市債残高を下げつつ、財政調整基金も積み増しも見込める状況だ。ただ、積立金の一部は今後の公共施設再編に充てる予定としており、将来の負担増に備えている段階と言えそうだ。
人口減に歯止めが掛からない状況で税収が伸びる期待は薄く、更新時期を迎えている公共施設の維持管理にも継続的な費用負担が予想される。定住者を呼び込む企業誘致や観光振興策を安定財源の確保にどうつなげていくか。１０年目を迎える加藤市長に課せられた課題は少なくない。
一般会計　１４７億７８００万円（４．０％増）
特別会計　　８８億２８００万円（６．２％増）
企業会計　　３０億４１００万円（１．６％増）
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情報元サイト：「カナロコ」
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